はじめに
高校生になると、「情報I」という科目を学びます。
「情報ってパソコンの使い方を勉強する授業?」
「プログラミングもやるの?」
「大学入学共通テストにも出るって本当?」
このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
情報Iは、単にパソコンの操作方法を覚える授業ではありません。
プログラミング、インターネット、データ分析、情報セキュリティなど、これからの社会で必要になる情報技術について幅広く学ぶ科目です。
この記事では、これから情報Iを学ぶ高校生向けに、
- 情報Iとはどのような科目なのか
- 何を勉強するのか
- プログラミングでは何をするのか
- 大学入学共通テストとの関係
- どのように勉強すればよいのか
を初心者にも分かるように解説します。
情報Iとは
情報Iは、高等学校で学ぶ情報科の科目です。
現在の高等学校学習指導要領では、「情報Ⅰ」は共通必履修科目となっています。
つまり、基本的には高校生が共通して学ぶ科目です。
文部科学省では、情報科について、情報技術を活用して問題を発見・解決する力や、情報社会に主体的に参加するための能力を身につけることを目標としています。
そのため、情報Iでは単純なパソコン操作だけではなく、
「情報をどのように扱うか」
「コンピュータはどのように動いているのか」
「プログラムを使って問題をどう解決するか」
といったことまで学びます。
情報Iで学ぶ4つの分野
情報Iでは、大きく分けて次の4つの分野を学習します。
1. 情報社会の問題解決
私たちは毎日、スマートフォンやSNS、Webサイトなどから大量の情報を受け取っています。
しかし、インターネット上にある情報がすべて正しいとは限りません。
情報Iでは、
- 情報の信頼性
- 著作権
- 個人情報
- 情報モラル
- 情報セキュリティ
- SNSの利用
などについて学びます。
例えば、SNSで見つけた画像を自由に自分のWebサイトへ掲載してよいとは限りません。
画像には著作権がある場合があります。
また、自分の住所や電話番号、写真などをインターネット上に公開することにも注意が必要です。
情報社会で安全に生活するための知識も、情報Iの重要な学習内容です。
2. コミュニケーションと情報デザイン
情報を相手に分かりやすく伝える方法についても学習します。
例えば、同じ内容でも文章だけで説明するより、
- 表
- グラフ
- 図
- イラスト
- 写真
などを利用したほうが理解しやすい場合があります。
Webサイトやスマートフォンアプリなどでも、「どのように情報を配置すれば利用者に分かりやすいか」という考え方が重要です。
このような情報の見せ方を考えることを「情報デザイン」といいます。
情報デザインは、Webデザインやアプリ開発、プレゼンテーション資料作成などにもつながる考え方です。
3. コンピュータとプログラミング
情報Iの中でも重要な分野の一つがプログラミングです。
プログラミングとは、コンピュータに実行してもらう処理を、一定のルールに従って記述することです。
例えば、
「点数が80点以上なら『合格』と表示する」
という処理をプログラムにすると、考え方としては次のようになります。
score = 85
if score >= 80:
print("合格")
このプログラムでは、
- scoreという変数に85を入れる
- scoreが80以上か確認する
- 80以上であれば「合格」と表示する
という処理を行っています。
情報Iでは、単にプログラムを書くことだけではなく、
「どのような手順で処理すれば問題を解決できるか」
を考えることが重要です。
アルゴリズムとは
プログラミングを学習すると、「アルゴリズム」という言葉がよく出てきます。
アルゴリズムとは、問題を解決するための処理手順のことです。
例えば、
「3人のテストの点数から平均点を求める」
場合を考えてみます。
処理の手順は、
- 3人分の点数を取得する
- 点数を合計する
- 合計を3で割る
- 平均点を表示する
となります。
このような処理の手順を考えることがアルゴリズムです。
プログラミングでは、いきなりコードを書くのではなく、まず処理の流れを考えることが非常に重要です。
変数とは
プログラミングでは「変数」という仕組みを頻繁に使用します。
変数とは、データを一時的に保存しておく箱のようなものです。
例えば、
age = 16
というプログラムでは、
「age」という名前の変数に「16」という数字を保存しています。
さらに、
print(age)
とすると、
16
と表示されます。
変数はほぼすべてのプログラムで利用される基本的な仕組みです。
条件分岐とは
プログラムでは、条件によって処理を変更することがあります。
これを「条件分岐」といいます。
例えば、
score = 75
if score >= 60:
print("合格")
else:
print("不合格")
このプログラムでは、点数が60点以上なら「合格」、60点未満なら「不合格」と表示します。
条件分岐は、
- ゲーム
- Webサイト
- スマートフォンアプリ
- 業務システム
など、ほぼすべてのソフトウェアで利用されています。
繰り返し処理とは
同じ処理を何度も実行するときには「繰り返し処理」を使用します。
例えば、
for i in range(5):
print(i)
を実行すると、
0
1
2
3
4
と表示されます。
同じ命令を5回書かなくても、繰り返し処理を使えば簡単に実行できます。
大量のデータを処理するときにも非常に重要な仕組みです。
4. 情報通信ネットワークとデータの活用
情報Iでは、インターネットやネットワークについても学習します。
例えば、
- インターネットの仕組み
- IPアドレス
- サーバー
- データ通信
- セキュリティ
- 暗号化
などです。
普段何気なく利用しているWebサイトも、実際にはインターネットを通じてサーバーと通信しています。
例えばブラウザでWebサイトを開くと、
利用者のパソコンやスマートフォン
↓
インターネット
↓
Webサーバー
という流れでデータが送受信されます。
このような仕組みについて理解することも情報Iの学習内容です。
データの活用も重要
現在の社会では、大量のデータを分析してさまざまな判断を行っています。
情報Iでは、データの扱い方についても学習します。
例えば、あるクラスのテスト結果が、
55点
72点
80点
63点
90点
だった場合、
平均点を求めたり、グラフにしたりすることでデータの特徴を把握できます。
実際の社会では、
- 商品の売上
- Webサイトのアクセス数
- 気象データ
- スポーツの記録
- アンケート結果
など、さまざまなデータが分析されています。
情報Iで学ぶデータ活用の考え方は、AIやデータサイエンスの基礎にもつながります。
情報IではPythonを勉強するの?
情報Iというと、「Pythonを勉強する科目」と思われることがあります。
実際には、情報Iで特定のプログラミング言語だけを学ぶことが決められているわけではありません。
学校によって、
- Python
- JavaScript
- Scratchなどのビジュアルプログラミング環境
などを利用する場合があります。
大切なのは言語そのものではなく、
- 変数
- 条件分岐
- 繰り返し
- 配列
- アルゴリズム
などの基本的な考え方を理解することです。
大学入学共通テストでも、特定のプログラミング言語を覚えていることを前提とした問題ではなく、大学入試センター独自のプログラム表記が用いられています。
そのため、
「Pythonの文法を全部暗記する」
というよりも、
「プログラムがどのような順番で実行されるのか」
を理解することが重要です。
情報Iは大学入学共通テストにも出題される
2025年度の大学入学共通テストから、新たに「情報」が出題教科となり、「情報Ⅰ」が出題されています。
これは、現在の高校学習指導要領で情報Ⅰが共通必履修科目となったことなどを踏まえたものです。
そのため、大学進学を考えている高校生にとって、情報Iは学校の定期テストだけ勉強すればよい科目ではなくなっています。
共通テストでは、
- 情報社会
- 情報デザイン
- プログラミング
- アルゴリズム
- ネットワーク
- データ分析
などについて、知識だけでなく考える力が問われます。
プログラムを読んで、「この処理を実行するとどうなるか」を考えるような問題にも慣れておく必要があります。
情報Iは将来何に役立つ?
情報Iは大学入試のためだけの科目ではありません。
現在は、ほとんどの仕事でコンピュータやインターネットを利用します。
例えば、
- Webエンジニア
- プログラマー
- システムエンジニア
- Webデザイナー
- データサイエンティスト
といったIT関係の仕事ではもちろん役立ちます。
しかし、営業、事務、経理、マーケティングなどの仕事でも、
Excelでデータを分析したり、Webサービスを利用したり、AIを活用したりする機会が増えています。
つまり、情報Iで学ぶ内容はIT業界に進む人だけに必要なものではありません。
AI時代にはプログラミングを勉強する必要はない?
ChatGPTなどの生成AIによって、簡単なプログラムであればAIが作ってくれるようになりました。
そのため、
「これからはプログラミングを勉強しなくてもいいのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、AIが作ったプログラムが正しいかどうかを判断するためには、プログラムの基本的な仕組みを理解している必要があります。
例えばAIが、
if score > 60:
というコードを書いた場合、
60点を合格にしたいのであれば、
if score >= 60:
でなければなりません。
この違いを判断できるためにも、プログラミングの基礎知識は必要です。
これからは、
「すべて自分でコードを書く能力」
だけでなく、
「AIを使いながら正しいプログラムを作る能力」
も重要になっていくでしょう。
情報Iを勉強するおすすめの順番
初めて情報Iを勉強する人は、次の順番で進めると理解しやすくなります。
STEP1 情報社会について知る
まず、
- インターネット
- 個人情報
- 著作権
- 情報セキュリティ
などについて理解します。
STEP2 コンピュータの基本を理解する
次に、
- コンピュータの仕組み
- データ
- 2進数
などについて勉強します。
STEP3 アルゴリズムを理解する
プログラムを書く前に、
「どのような順番で処理するのか」
を考える練習をします。
STEP4 プログラミングを勉強する
次に、
- 変数
- 条件分岐
- 繰り返し
- 配列
などを学びます。
STEP5 ネットワークを学ぶ
Webサイトやインターネットがどのように通信しているのかを学習します。
STEP6 データ活用を学ぶ
最後に、表やグラフなどを利用してデータを分析します。
プログラミングは実際に動かすと理解しやすい
プログラミングは、本を読むだけではなかなか理解できません。
例えば、
for i in range(10):
print(i)
というプログラムを見ただけでは分からなくても、実際に実行してみれば、
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
と表示されるので、処理の意味が理解しやすくなります。
さらに、
range(10)
を、
range(5)
に変更してみるなど、自分でプログラムを変更して結果を確認することが大切です。
まとめ
情報Iは、単なるパソコン操作の授業ではありません。
主に、
- 情報社会
- 情報デザイン
- プログラミング
- アルゴリズム
- ネットワーク
- データ活用
などを学びます。
特に重要なのが、
「コンピュータを使って問題をどのように解決するか」
という考え方です。
また、2025年度から大学入学共通テストでも「情報Ⅰ」が出題されるようになったため、大学進学を考えている高校生にとっても重要な科目となっています。
最初は専門用語が多く難しく感じるかもしれません。
しかし、
変数 → 条件分岐 → 繰り返し → アルゴリズム
というように、一つずつ学習していけば理解できるようになります。
次回は、情報Iのプログラミング学習で最初に覚えておきたい「アルゴリズムとは何か」について、具体的な例を使って解説します。